メロディ・ラザカ
mlo_mlo.project/めろめろ · “I shape, I draw, I colour my e-motions.”
多分野で活動するアーティスト · 陶芸家 · 詩人 · 視覚と社会のリサーチャー
土は、それを形づくった手の跡を、そっとおぼえてるんや。物語が、それを語ってきた人たちの跡を、とどめてるみたいに。うちは、器をつくって、詩を書いて、食卓をととのえる。うちらを傷つけるものを、うちらをつなぐものへと、変えていくために。ひとつの器も、一行の詩も、一度のごはんも、ぜんぶ、壊れてしまったものを、そっと繕いなおすこと。内なる子どもと、もういちどつながりなおすための方法。そして、誰かを食卓に招くための、ちいさなきっかけなんや。うちの、食卓に。
土と火(Earth & Matter)
陶芸と、ステンドグラスのリサーチ。手で形づくる素材たち——感情が、かたちになって素材に宿る場所です。
陶芸
陶芸作品は、ただのモノやありません。そこに「受肉した神性」のようなものを探してます。いま、このときの強い感情を、土のなかに結晶させて閉じ込める、神聖なお守りとして思い描いてるんです。
土は、聴いてくれるから。言葉がつまずくところで、土は記憶をとどめてくれるから。土をかたちづくることは、うちにとって「いま」にしっかりいるための方法です。手が、頭の忘れがちなことを覚えている——過去と現在のあいだの、身体をとおした対話。神経の多様な(neurodivergent)一人として、いつも深く「いま」へ連れ戻してくれるのは、この土だけなんです。
インナーチャイルド シリーズ
意匠研(Tajimi City Pottery Design and Technical Center/多治見)でつくった、最初の陶芸シリーズは、静かな反抗でした。かたち、釉薬、遊びを通して、内なる子どもに道案内をまかせた、その「あいだ」の季節の仕事です。
インナーチャイルドは「内なる子ども」。子どものころに負った傷や、言えなかった沈黙のことで、それは大人になってからもわたしたちのなかで働き続けます。Donut de Proust(「プルーストのマドレーヌ」をドーナツに見立てた作品)と、このやわらかなかたちたちを通して、土は感情に手で触れられるかたちを与えてくれます。傷やトラウマが、ゆっくりと癒えていく時間を持てるように。
かたちの面では、このシリーズは「形の心理学」と、家庭的なアーキタイプ(原型)に手を伸ばしています。Donut de Proust は、機能的な物の脱構築。まんなかが、ぽっかりと空いた器。役立つことを、そっと拒む容れ物です。日常の物の、あの安心するかたちは残したまま、その「用」だけを、ふっと手放して。
色のパレットは? それは、うちが育った南仏から借りてきたもんです。コート・ダジュールの青、窓辺にとどく海のにおい、まぶしい光、そして旧市街ニースの鮮やかな色。
脱皮ちゃんシリーズ
脱皮とは、皮を脱ぎ捨てること。これらの作品はベルリンでかたちにしました。@tenko_club のシスターフッドに支えられて。あの街は、うちをすっかり変えてしまったんです。いつものヴィヴィッドな色より、少しグランジでグレーな自分を見せながら。
2025年は、間違いなくうちにとって蛇の年でした。数えきれんほど皮を脱いで、柑橘の皮を土のなかで乾かしてきました。カップに残るオレンジの皮のテクスチャーは、脱皮して変わっていく皮の象徴です。生き延びるために姿を変えるトカゲのように。この仕事は、その移ろいの状態の証。すべてが、極めて脆く、生々しく、わざと未完成のまま。まるで人生そのもののように。
ステンドグラス(Vitrail)
リサーチ進行中。
透明さ、割れたガラス、濾された光をめぐるリサーチが進行中です。陶芸と同じ「もろさ」と「修復」への関心を、別の素材へと持ち込んでいます。
食卓とケア(Tables & Care)
The Empowered Plate と写真。コミュニティ、女性、そしてケアをめぐる、視覚のリサーチです。
The Empowered Plate
リレーショナル・デザインと、ソーシャル・ガストロノミー。
ベルリンで立ち上げた、コミュニティのためのサパークラブ。BIWOC(黒人・先住民・有色の女性たち)のための場所で、分かち合うのは食事だけやなくて——物語、語りの場(トーキングサークル)、コミュニティのマッピング、そしてケア。自分を取り戻して、立て直していくための拠り所です。
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ベル・フックスの「愛の倫理」と、ケアは深く政治的だというオードリー・ロードの考えからインスピレーションをもらって、The Empowered Plate は、食とおもてなしを抵抗の行為へと変えます。うちは食卓そのものを、食事を脱植民地化するための、批評的な空間装置として考えてます。これはディナーやなくて、パフォーマティブ・インスタレーション。有色の女性たちが集まって、料理と歩みを分かち合う場です。スペクタクルのためやなくて、分かち合いの、心と政治の栄養のために。
それぞれのインスタレーションは、ひとつの全体としてデザインされます。メニュー、自分の工房から生まれた陶器、テーブルセッティング、そして会話の流れ。料理の記憶と口承の歴史をたどりながら、沈黙を言葉と行動へと変えていきます。ゲストは受け身の観客やなくて、その夜を共につくる共同制作者です。
写真
2016年から・継続中
写真は、メロディにとって最初の芸術言語でした。ここで紹介するシリーズは、大学を代表して参加した全国写真コンクール JACES 2016 のために制作したもので、いつものように、ケア、女性、そして色彩のつながりをたどっています。
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モデルのWei Diとともに、テラコッタの壁、鉄柵、生き生きとした緑のなかで撮影されたこのシリーズは、暖かなレンガと植物を対比させて、その中心に、静かで注意深い存在を置いています。
ソニーのNEX-5で撮影。この実践はいまも自由の場であり、すぐに視覚で「いま」に根を下ろせる場所であり続けています。
言葉と声(Words & Voices)
詩とポッドキャスト。書くことと、声に出すこと。ポッドキャストは、詩のための「声のラボ」です。
詩 · Douceur et Douleur
制作中の詩集
『Douceur et Douleur』(優しさと痛み)は、タイポグラファーとの緊密な協働のもとで制作が進んでいる詩集です。
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この詩集は、ディアスポラの亀裂、世代を超えて受け継がれる記憶、そして「どこに属するか」をめぐる政治のテクスチャーをたどります。言葉は、断片的で、やわらかくて、そして鋭いんです。植民地的な文法を拒み、傷から書きながらも、その傷に定義されない書き方です。ここでは、ひとつひとつの言葉が「maux pour mots(痛みを、言葉に)」の渡しになります。フィルターをかけずに差し出された、生のかけら。自分を見つけて、息をして、まるごと存在しようとする人たちのために。
Des étoiles et de la lune, tu es tombé à mes piedsCe qui ne devait être qu’une simple amitié,S’est transformé en romance inespérée.Une force tranquille qui met du baume au cœurlorsque les maux et les douleursSe voient calmer par ta douceur.Une impression que tu es fait sur mesure,Et Lingua Franca est notre démesure.Tout s’est fait rapidement,En un instant,Je prenais ta main froide et ton cœur chaud,Et moi qui pensais que tu me regarderais de haut,Que nenni ! Tu avais les yeux qui pétillaient,Comme les étoiles et les lumières de la ville qu’on regardait.Seulement voilà,Tu t’en vas.
月と星々から、あなたは私の足元に墜ちてきたただの友情のつもりだったけど思いがけないロマンスになった。心を癒す静かな強さあなたの優しさは痛みと苦しみを消してくれる。あなたはまるでオーダーメイド熱狂だけが二人の共通語。すべては一瞬で起きた。あなたの冷たい手と温かい心を受けとった見下ろされるかと思っていたけどそうじゃなかったでしょうまるで私たちが見た星々や街の灯りのようにあなたの目はキラキラしていた。だけど…あなたは出て行く。
Âme rêveuse,Âme baroudeuse,Rencontre douce et intense,Tu pars à l’autre bout du globe.Et cette idée me dévore, me gobe,Comme si tu me donnais l’univers au creux des mains,Pour t’en aller le lendemain.Mon cœur est chamboulé,Je ne sais plus que penser,Si ce n’est, être à tes côtés.Tu m’as accepté comme je suis,Malgré toutes mes folies,Et tu as su définir,Ce qui me faisait souffrir.Difficile de recevoir quand on a tellement donné,Mais avec toi tout cela semble du passé.Merci l’Univers de m’avoir mis sur ta route,Parce que mes constellations ne doutentPas une seule seconde,Que j’irai au bout du monde,Pour recroiser ta route.
夢見がちな魂、彷徨える魂、甘く、激しい出会いあなたは地球の裏側へ旅立ってしまう。そのことが私を捕らえて離さないあなたは私にすべてを与えてくれていたのに明日あなたは出て行ってしまう心が激しく揺れ動く。何を考えればいいんだろうあなたのそばにいること以外。ありのままの不器用な私をあなたは受け入れてくれた私を苦しめているものをあなたはわかってくれた。どれだけ与えていても、受け取ることは難しかったあなたといるとそれも過去に思えていた。あなたの道を示してくれたすべてに感謝します。私は決して星座を疑わないそう…一瞬たりとも世界の果てまで行ってみせるあなたの道を再び横切るために。
公式訳:山下泰幸(神戸大学)× メロディ・ラザカ
※ この詩集、いっしょにかたちにしてくれる出版社さん、絶賛募集中です(笑)
ポッドキャスト · Humbly Melody
記憶、アイデンティティ、言語と言語のあいだの空間を探る、多言語のポエトリー&ヴォイス・ポッドキャスト。
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いま『Douceur et Douleur』に集められている詩の多くは、まずここで声に出されました。3つの言語で試されて、読まれるのではなく聴かれることで、磨かれていったんです。
ビジュアル・ジャーナル
色鉛筆による毎日のドローイング。彩度の高い、蛍光色の視覚的な日記です。
2025年12月から続く、色鉛筆による毎日のドローイング、視覚的な日記。
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スケールにおいて親密なドローイングは、まだほかの言語を見つけていない象徴に、声に出して考えながらかたちを与える方法です。
パレットは飽和して、意図的に鮮やか、ときに蛍光色。ポップでハイコントラストなやり方で、もっとも濃い怒りから、もっとも電気的な喜びまで、人間の感情のすべてを率直に描きます。ドローイングには、強くて表情ゆたかな目をした女性たちが登場します。光は外から当たるのやなくて、彼女たちのなかから、ふわっと放たれるんです。男性のまなざし(male gaze)には何も求めず、自分自身のミューズとして、見る人をそっとその世界へ引き込んでいきます。
展示
- 卒業制作展 2024[作品紹介] (意匠研(多治見)· 2024年)
第21期セラミックスラボ メロディ・ラザカ
影響
ヴィジュアルアート
- 六角彩子
- Bibi Lei
- 村上隆
- Delphine Diallo
陶芸
音楽 & パフォーマンス
- Florence and the Machine
- 椎名林檎
- Marina Diamandis
- Paris Paloma
- Kiki Rockwell
- Madelline
思想 & 文学
- ベル・フックス(bell hooks)
- オードリー・ロード(Audre Lorde)
- オクテイヴィア・バトラー(Octavia Butler)
- マダガスカルの口承伝統